2007年 5月号
そんなこと聞いてないょ〜
この春、胸を弾ませて高校に入学したばかりの高1生が何人も口をそろえて「化学の授業でいきなり“イオンがどうのこうの”と言われたけどさっぱりわからないよ。これじゃ化学が苦手になりそう…。」と言いながら駆け込んできます。実はこの人たちは中学時代に新指導要領の理科の教科書で学んだため、まるっきり“イオン”という言葉を知りません。知っていてもCMの『マイナスイオン○○』という商品名の知識だけです。高校の先生の中にはそういう事情をあまり知らないか、知っていても今まで通りの教え方しかしない人がいるようです。塾で少し解説してあげるとちょっと安心した表情で帰っていきます。
中1生の場合はこちらもあらかじめいくつかのつまずき予防策を講じます。まず数学の授業でアルファベットのa b x y 4文字の筆記体を教えることにしています。「bを数字の6と、Xをかけ算記号の×と間違えやすいから、数学の先生はいきなり筆記体で黒板に書くことがあるよ」と説明しておきます。ついでに今は学校で筆記体を習わないので、みんなの名前を筆記体で書いてあげると「うわぁカッコイイ。覚えとこう!」と喜んでノートに写しています。同様に英単語のスペルをはじめて習う中1はアルファベット書体の違いにも戸惑うようです。ブロック体の“g”と活字体の“g”を別の文字だと思っていることさえあります。「だってあれはグラムという字でしょ」と言われれば妙に納得。
大人の論理で“知っていてあたりまえ”で見過ごされていることがちょっとしたつまずきの原因になっていることがあります。そのために特定の教科を嫌いになってしまったり理解を足踏みさせてしまったりするのはもったいないこと。小・中・高のすべての生徒を見ているからこそ気がつくことに今後も心配りをしていきたいと思います。みんなには「そんなこと聞いてないょ〜」とすねるだけでなく、わからないことは自分でも調べる気持ちを持ってほしいのだけれど…。
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